昔の旅行のことも書いていきたいと思います。
大学生だった頃、2008年8月30〜9月7日まで中朝の国境付近をぶらぶら旅しました。当時は韓国語を勉強してたので、中国東北地方の朝鮮族自治区を探索してみようと考えました。
(毛沢東像)
白頭山の天池は有名なので日本語での情報はある(「地球の歩き方」など)。丹東市や集安市など中朝国境で観光地化されている所も情報はある。しかし、観光地化されていない中朝国境の姿も見たくて、情報が無い地域まで鉄道やバスで移動して旅をした。
そして、いつの間にか外国人立ち入り禁止区域でブラブラして、外国人宿泊禁止の宿に泊まっていたらしい。地方で宿に泊まっていたら軍人が数人部屋に入ってきてパスポートを取り上げられ、2時間ほど軟禁された。中国の未知の領域での旅であった。10年ほど経過しているので状況は少々変わっていると思う。
行程は、
大連市→丹東市→集安市→通化市→二道白河→白頭山→臨江市(外国人立入禁止区域)→大連市
◯食事
食堂に入り10元(150円)ぐらいで腹いっぱい食べれた。生ものには注意。
◯宿
飯店などと書かれたのが宿。外国人が泊まれる宿と宿泊禁止の宿がある。普通の安ホテルで一泊100元(1500円)くらい。一泊8元(120円)の宿を見つけたが明らかに国内人専用であろう(出稼ぎや行商人が泊まる)。宿泊を断られる宿もあった。なお、泊まった宿で最安値は地方の宿(臨江市)で30元(450円)だった。地方やドヤ街的な場所なら安宿に泊まれるかも。安いとトイレ・シャワー共用の所も多く、大学の寮みたいである。
(都市部で小部屋で一泊1500円くらい)
◯トイレ
汚い。公衆トイレは、いわゆるニイハオ・トイレがたくさん(部屋の中に溝があり、そこに排泄物を出す。仕切りとかがない)。10年で状況は変わったか?
◯旅の様子
大連市には、大学に日本語研修の留学できていた元留学生の友だちが住んでいたので、その人を頼りに飛んだ。大連は大都市で夜もにぎやか。中心街は家電製品などを扱うショッピングセンターが多かった。
●中朝国境の町
大連からバスにて中朝国境の都市丹東市に移動。国境である鴨緑江には中朝友誼橋がかかる(長さ約1kmの二本の橋があり、そのうち一本は朝鮮戦争時に米軍機に空爆されて以降修復されていない)。
中朝国境には日帝時代に日本によって造られた橋がまだ使われている(橋を新設する資金がないためとも言われる)。しかし、朝鮮戦争時に米軍に破壊され修復されないまま残っている橋もある。
(集安市の田園地帯にかかった国境連絡橋)
丹東から列車に乗り集安市へ。
集安は田舎であり田園地帯が広がっている。中国の東北部は「中国の食料基地」と言われるほどで、トウモロコシなどの穀物の畑が広がっている。
鴨緑江の川幅が狭くなり間近にDPRKが見える。
時折、DPRK行きの列車も見かける。
対岸の山肌には「偉大な首領金日成同志の遺訓を徹底しして貫徹しよう」と書いてある。
国境の川沿いには所々に監視カメラが置いてある。
この日は、朝鮮族のタクシーの運転手のおっちゃんに韓国語で案内してもらった。親戚が朝鮮側に住んでいるが、食料が少なく嗜好品などが手に入りにくいという。誕生日でもケーキが手に入らないので豆腐で祝うほどだと言う話を聞いた。
次の日は通化市という地方都心に移動。中国の地方都市にはまだゴチャゴチャした市場が残っていた。
たまに町を歩いていると耳が裂けるような爆発音がして、あたりが煙だらけになることがある。テロかと思うが、結婚式で爆竹を鳴らしている。けたたましい結婚式である。
鉄道に乗り、白頭山の近くの白河駅に向かう。
駅近くの朝鮮料理の食堂で犬肉のスープを食べた。
次の日は現地のツアーに参加して国境の白頭山(中国では「長白山」と呼ぶ)の天池へ(宿で手配)。森林公園などを回った後、天池に至る。山の麓で山頂行きの観光タクシーに乗り換える。
白頭山は朝鮮半島の最高峰であり、朝鮮民族にとって富士山みたいな存在である。山頂の火山湖である天池から金日成が誕生したという神話もある。
国境の町なので、朝鮮族の食堂も多い。なおこのへんで食べて腹を壊した。付け合せのキムチのせいであろう。中国の地方では生ものは気をつけた方がいい。
次の日は、白河駅からバスに乗り臨江市という場所に向かう。案内には朝鮮語表記もある。
● 何も情報がない地域へ
対岸のDPRK側の川沿いでは、川で遊ぶ子どもたちの姿が見えた。
川沿いの看板に「越境者の収容、(食料・宿の)供給を禁止」と書いてある。
市内から少し歩くと川沿いは畑となっている。国境をまたがる鉄道橋が見える。
臨江駅は利用客が少ないのに巨大で立派。中国の鉄道駅は地方でも巨大である。
市内はトゥクトゥクや自転車タクシーがあふれる。まるで、東南アジアの町のよう。
市場で食べた。
中国に行くと白酒(アルコール40度くらい)を飲んでいた。胃が焼けるように燃え上がりすぐ酔っ払う。今はアル中のため酒は飲めない。
中国のケーキは毒々しい。
中国の地方都市に行くと毎晩広場で市民による踊りがおこなわれている。毎日祭りのようだ(若者からは「ダサい」と不評のようだ)。
●軍人の取り締まりに遭う
なお、この臨江の宿で30元(450円)のところに泊まった。この地区は外国人立ち入り禁止区域なのか、あるいは宿が外国人宿泊禁止なのか、部屋で酒飲みながらくつろいでいたらドアがノックされ、開けたら軍人が数人入ってきた。
銃をもった軍人に取り囲まれるなんて初めての経験だから、どうすればよいのかわからなかった。
パスポートを取り上げられて軍人同士話し合っていた。
ここで、あろうことか私は「トイレ行っていい?」と軍人に尋ねて、なんとOKをもらった。
緊張してたが、トイレを我慢できなかった。トイレに行ってシャワーも浴びてきた。緊迫した状況なのに空気が読めてない。
帰ってから軍人が紙に何か書いて見せてきた。「admit」と書いてあったと記憶している。この地区に来る許可証とかを持っているのか?という意味だろう。「無い」と返事して、いろいろ聞かれたが、結局わけのわからないまま軍人は部屋から出ていった。脱北者ではなく日本人だとわかったのか帰ったのか分からない。
一連の取り調べが終わって、宿のおばちゃんが「大丈夫か」みたいに声をかけてくれた。大丈夫だが、中国ではよく分からない地域でブラブラするのは厳しいなと感じた。
中国の外国人立ち入り区域は公開されてないからよく分からない(以下、黒色中国さんの記事)。
bci.hatenablog.com
結局、地域が立入禁止なのか、宿が外国人宿泊禁止なのかよくわからないまま(両方の可能性)、ことが解決した。けっこう適当だ。でも、スパイ容疑で逮捕されることもあるので、面倒くさいこともあるかもしれない。
さて、国境をブラブラして、大連に戻り街で遊んで、次の朝に出国。朝の市場で小籠包が6元で食べれる。中国は安くてたくさん食べれる。都会で1000円くらいの宿に泊まって町中をブラブラするのはおすすめである。