生きるための自由研究

脱・引きこもりできそうにない半引きこもりです。

自給生活の形

 働けない、あるいは働かないのであれば、現金が得られない。現金が得られないのであれば、食べ物や生活に必要なモノを自分で作り出していかなければいけない。

 

(もちろん、身体障害や精神障害によって体調がよくないのであれば、生活に必要なモノを自分で作り出すことも困難だ。それさえできない程の障害であれば手帳をもらい生活保護に頼るしか無いだろう)。  

 

 韓国の都市部(安山市)に住みながら、自給を目指して数人で農作業をやっているK.Jさんは以下のように語った。

 

 「(貨幣との)交換価値で外部に依存するよりも、自分の体をつかって生産して、生活に必要なモノをできるだけ自分で作ろうという目標をもっている。」 

 

 私たちは、貨幣と商品と交換し、生活に必要なモノを手に入れることに慣れてしまっている。しかし、生活に必要なモノを自分で作り出すことができれば、貨幣への依存を減らして生活ができるので、貨幣を得るための労働時間を減らすことができる。  

 

 K.Jさんの生活の様子を見てみよう。

・田んぼ2,000坪、畑700坪の土地を借りて農作業をしている。

・田や畑は自宅から地下鉄で20分程度の距離。コメと野菜はほぼ自給できている。

・加工もしていて、チョングクジャン、豆腐、羊かん(趣味程度で)。服や石鹸(米ぬか、薬草)も自宅で作っている。

・収益を出すのではなくて、農業に必要な費用をまかなう程度に稼ぐ。2015年は300万ウォン(30万円)の収益(米ぬか、チョングクジャンを売る)。農業の資材、土地の賃貸料などに払って、18万ウォン(18,000円)が残る。

・アルバイトとして週に2〜3日、協同組合の流通関係の仕事で幼稚園などに野菜を供給する。昼に農作業をして夕方にアルバイトをする生活。

 

 K.Jさんは、電気代を節約するために冷蔵庫や炊飯器などの電化製品をできるだけ使わないようにしている。芋や白菜や大根などは、土の中に置いといて食べる時に必要な分だけ畑からとってくるという。畑が冷蔵庫代わりだと語った。

 

 最後に、K.Jさんは以下のように語った。

 

 「(生産した野菜に)交換価値を出そうとは思わない。生活に必要なものを自分で生産して自分でまかなっていく。残ったものを売っている。」 「一つのものを生産してカネを稼ぎ、他のものを購入して生活を維持しようという考えはない。」

 

 農業である程度のカネを稼ぐには、一種類の作物だけを大量生産して、まとまった量を卸さないといけない。そのために、一種類の作物だけを生産し、売って得たカネで、生活に必要なモノを購入する生活はサラリーマンと何ら変わらない。  

 

 自分の生活に必要なモノを、市場経済という外部に依存せず、自分で作り出すことが、自分の生活を自分の統制下に置くということである。