生きるための自由研究

脱・引きこもりできそうにない半引きこもりです。

働きたくても働けない社会

 若年無業者についての本を読んだ。

 

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 この本では、職に就かない者を無業者と呼んでいる。ニートと異なるのは、何らかの職業訓練などを受けている者も無業者に含めているからである。

 

 若年無業者の数は200万人を超え、15〜39歳の若者の16人に1人の割合となっている。

 

 この本では、働いていない若者は働きたくないから無職状態にあるのではなく、「働きたいのに働けない」、つまり働けない状況に若者が追い込まれていると指摘する。

 

 正社員では、パワハラ長時間労働などが横行し心身を壊し仕事を辞める若者。さらに、そういった経験がトラウマとなり就業意欲を失って無職状態を長引かせてしまう者。

 

 人とのコミュニケーションが苦手であったり、HSP(神経が繊細であり、他人からちょっと怒られただけでも萎縮してしまう人)であったりするため、仕事がしにくい人たちもいる。また、そのような性格の者で、仕事をすることに対して一歩前に踏み出せずにいる人たちもいる。

 

 この本では、誰もが無業状態になりうる可能性があり、無業状態から抜け出しにくい社会を「無業社会」と呼ぶ(p.148)。

 

 日本社会では、一度、無業状態になってしまうと、人間関係や社会関係資本、意欲も失ってしまいがちなのである(p.25)。

 

 湯浅誠氏が「すべり台社会」と言うように、いったん「正規ルート」から外れてしまうと、すべり台に乗るように、そこから先、下げ止まらない。

 

 ニートなど就労意欲がない若者が話題となっているが、本当に働きたくないと思っている若者は少ないのではないか。

 

 私がオフ会で会った無職の男性(25歳)は、アニメーターとして働いていたが、仕事の覚えが悪かったりして、上司から「冗談抜きで、知的障害ではないか?」と言われ辞職に追い込まれた。彼は働く自信を失っていた。現在は就労支援施設に通う。

 

 私が「仕事はしたいんですか」と問いかけると、「仕事をしたい。仕事をしていることで社会と繋がっている感覚をもてるから」と語った。

 

 私もできることなら働いて金を稼ぎたいと思っているが、条件の合った求人に出会えないことや、仕事がキツくて尻込みしてしまうのだ。

 

 

 皆が働ける社会になるには、無業状態にある若者が働く自信をつけるだけでは不十分で、労働環境が働きやすいものへと変わる必要もあると考える。

 

 労働教の支配する日本社会での仕事は容易ではない。日本では仕事をするためのハードルが高い。仕事を少しのミス無く完璧にこなすことを求められる。それで、仕事が少しでもできない者は助けられるどころか、攻撃されひどい扱いを受けたりする。

 

 少々のミスが大目に見られて、社員がお互いにフォローしあう労働環境となれば、どれだけ働きやすくなることか。 仕事の難易度が下がり、ひどい扱いを受けることが減れば皆が働きやすくなり無業者も減ることだろう。

 

 働きたい者が、自分に適した働く場所を見つけられて、適切なフォローを受けながら働くことができれば、人々から社会不満も消え生きやすい社会になっていくと考える。