生きるための自由研究

脱・引きこもりできそうにない半引きこもりです。

「世界」をつくる(『アレント入門』より)

言説実践による社会変革についてハンナ・アレントの考えを私の血肉としたい(中山元、2017、『アレント入門』ちくま新書)。

 

私たちは、言論と活動をもって他者に働きかけることで、自己と他者が立ち現われ、自己アイデンティティを獲得していく。それを通して世界をよりよいものにしていく。

 

アレントは人間の活動性の領域を、労働仕事活動と3つに分けた。

 

 

労働は個人の生命を維持するものであり、個人の生命の維持とともに、その成果は消滅する。そして個人が死去した後には、その痕跡も残らない。しかし、仕事は個人の生命を超えて存続する作品を作りだし、それが人々の間で成立する「世界」を構築する(p.78-79)。

 

この労働と仕事はどちらも人間の生命の維持と世界の確立に貢献するものであるが、わたしたちはこれらの活動性とは別に、人間と人間の間での交流を作りだす行為もまた遂行している。これが「活動」(アクション)である(p.80)。

 

わたしたちが他者と対話するとき、人々の集会で発言するとき、それは生命の維持を目的とした労働でも、作品を製作する仕事でもない。それは他者に働きかけて、わたしたちが生きる世界をよりよいものとするための行為なのである(p.80)。

 

「現われの空間」をつくるのだ。

 

この空間は、たんに政治的な活動の場であるよりも、わたしたちが一つの明確なアイデンティティをもって登場する場である(p.81)。

 

アレントは、この活動と言論という行為によって、初めて人間にとっての公的な領域というものが生まれる一方で、人間がこの「わたし」というアイデンティティを獲得できると考えている(p.81)。

 

「人々は活動と言論において、自分が誰であるかを示し、そのユニークな人格的アイデンティティを積極的に明らかにし、こうして人間世界にその姿を現す」(p.81)。

 

よりよい生のためには、自己アイデンティティの確立が必要である。自己アイデンティティは真空地帯からは生まれず、言説実践により他者との関係のなかで立ち現れる。

 

 

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私も言説実践を通して、他者へ働きかけ、世界を変革する活動をしていきたい。