生きるための自由研究

脱・引きこもりできそうにない半引きこもりです。

ジェンダーフリーの観点から「第3号」は廃止されるべき

1.原則として「第3号」は差別的である

 

厚生年金や共済年金に加入する会社員や公務員に扶養されている者は保険料を収めなくても基礎年金が支給されるという「第3号被保険者制度」が見直されようとしている。

 

以下のヤフーの記事の見出しにある「無職の専業主婦」という言い方はよくないが(家事は賃労働者を支えるアンペイドワークであるので)、この制度改革は支持する。これは、制度の「改悪」ではなく「正常化」である。

 

夫の厚生年金に加入し、年金保険料を支払わずに基礎年金をもらうことができる「第3号被保険者」の妻は約870万人いる。

 

ヤフーニュース

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190505-00000001-moneypost-bus_all

 

 

 

年金は保険である。公的扶助ではない。なので、掛け金に応じた額を受け取るという年金権の原則がある。「第3号被保険者制度」はこの原則に反する。

  

「第3号被保険者制度」は事実上の専業主婦に対する優遇政策(=片働き夫婦優遇政策)になっている。

 

厚生年金や共済年金の中の独身者・非婚者や共働き、国民年金制度の中で払い続けている者の「犠牲」の上に、サラリーマン専業主婦優遇政策が維持されている(以上、伊田広行『シングル単位の社会論』世界思想社、p.73)。

 

年金は受給単位が世帯であることで不公平(差別)を生んでいる。差別を生まないためにも年金制度は個人単位となるべきである。

 

結婚していることで税金の控除を受けられたり、年金の保険料を収めなくても給付金がもらえるなどというのは、結婚制度による「特権」である。

 

結婚制度が差別的なのは、「性愛に基づく二者関係」を他のあらゆる社会関係に優越して法的制度的に特権化しているからである。

 

結婚して有利になるということが、結婚しない人を不利にしていること(不平等=差別を生み出すこと)を意識しなければいけない。

 

 

 

2.ジェンダー差別を生み出す「第3号」は廃止を

 

「第3号被保険者制度」はジェンダー差別解消のためにも廃止されるべきだと考えている。

 

「103万円の壁」に代表されるような税金の控除、「第3号被保険者制度」などは、女性の経済的自立を抑圧している。このような制度は、「男性はフルタイムの正規職/女性は主婦やパートなど非正規職」というジェンダー役割を強化する。

 

これらの制度は、専業主婦やパート労働者を保護しているように見せながら、パートの賃金抑制の口実につかわれたり(夫に養われてるから主婦パートの賃金は低くてもいい)、女性を被扶養(依存的弱者)の位置に縛り付けている。女性を男性に従属させるシステムであるといってよい。

 

女性が経済的自立できるためにも、女性の働きやすい環境を整え(セクハラなどの排除)、男女の賃金格差を解消しつつ全体の最低賃金も引き上げ女性が男性の経済力に依存しなくてもいいようにする。また社会保障の充実も欠かせない。社会保障が貧弱であるから女性は男性の経済力に依存せざるを得ず、DVなどを受けても簡単に離婚できない問題がある。

 

主婦はどうすべきか?働ける者は働けばよいし、働けずに金がない者は福祉が受給できるようになればよい(生活保護の個人単位化など)。他人の経済力に依存しなくてもよいようにシングル単位の発想から制度がつくられるべきである。

 

※※※

子どもや要介助者を抱える者が経済的自立するためにも、ケアされる者とケアをする者に対して給付がなされればよいのだが(M.ファインマンのいう「性の絆」→「ケアの絆」への給付)、それについてはまた勉強してから書きます。

 

 

 

【用語】

第3号被保険者

 

国民年金の加入者のうち、厚生年金共済年金に加入している第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者(年収130万円未満)の人をいう。大半は「サラリーマンの妻で専業主婦」だ。この人たちは保険料を払わなくても、配偶者が加入する厚生年金や共済組合が一括して払うので、国民年金を受け取れる。このため夫婦とも厚生年金の保険料を払う共働き世帯や夫婦とも国民年金の保険料を払う自営業世帯との不公平が問題となっている。

 

(引用元:コトバンク

https://kotobank.jp/word/%E7%AC%AC3%E5%8F%B7%E8%A2%AB%E4%BF%9D%E9%99%BA%E8%80%85-182591