生きるための自由研究

脱・引きこもりできそうにない半引きこもりです。

年金は払ったら負けだ

 

【目次】

 

 

1.年金払えないし、払っても将来生きられない

 

 国民年金の保険料は月額16,540円である(令和2年度)。この額はワーキングプアーの人には重すぎる。しかも、20歳から60歳まで40年間きっちり満額収めても、月65,000円程度しかもらえない(*1)。ワーキングプアーの人は生活費を削って年金をまじめに納めても、将来の生活すら保障されない。貯金もできないし年金だけでは生活ができない。何のために年金を払わされるのだろう。

  

*1 日本年金機構によると令和2年度は国民年金の満額は65,141円だ。

  

2.そもそも年金制度は社会保障ではない

 

 年金は社会保障ではなく保険である。年金は掛け金が多いほど受給額も多くなる。金がある人がより多く金を得られる仕組みであり、富の偏りをならす再分配ではない。だから、低所得者は年金制度の恩恵を受けにくい。年金が社会保障制度だとみんなに思われているために、ちゃんとした生存保障が整備されないままだ。政府も年金制度を形だけ維持することに必死で、庶民の暮らしのことは真剣に考えてない。集められた年金はどう運営されているかもよく分からない。集められた年金は年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)という組織で株式投資に使われているらしい。知らぬ間にトンデモナイ多国籍企業に投資されている可能性もある。GPIFはたびたび大赤字を出している。コロナ下の2020年1~3月期には18兆円の最大規模の赤字を出した。払った年金がアベッチやスガッチの株遊びで蒸発してしまう。GPIFは集めた年金で130〜160兆円規模の事業体となり「世界最大の機関投資家」「クジラ」などと呼ばれる。以前は、国民の資産をリスクに晒さないという観点から国債中心の低リスクの運用をしていた。しかし、安倍政権は2014年10月に基本ポートフォリオを大幅に変更し、株式への投資を全体の半分にまで増やすことを決定した。要するに、年金が株式購入の原資となりバクチに使われるようになった。株が当たって一時的に利益を上げたとしても、何兆円規模の赤字が出るとまたたく間に泡と消える。そして、アベノミクスでは株価引き上げのために年金が利用されるようになった。日銀による公的資金とGPIFの年金で大量の株が買われた。これで株価が上がって見せかけの景気回復を演出してハッタリをかましたのがアベノミクスであった。年金は政府が株遊びをするためのお小遣いとなっているのが実態だ。

 

 *アベノミクスで年金が溶けたことについての記事

lite-ra.com

 

3.賦課方式は世代間対立をあおり、将来世代にツケを回す

 

 現行の年金制度は昭和の高度成長が続くことを前提とした仕組みだ。将来に人口が増え、GDPも右肩上がりにならないといけない。しかし、人口は微減し経済成長も見込めない。現役世代が老齢世代を支える賦課方式では今の社会に対応しきれない。現行の年金制度では将来に年金が払われるかも分からない。これでは、将来世代にツケを回す「大洪水」となる。低収入の高齢者も多いため年金だけでは対応できない。また、若年者にも低所得者が多く年金を払う余裕もない。世代間扶助の発想ではお金を取るべき人から取れず、取るべきでない人のお金を取ることになり不公正が生まれる。このやり方では、富の再分配の問題がぼやかされる。若年世代に不公平感が植え付けられることで世代間の軋轢をうみ、若者VS高齢者という安易なトロッコ論法に足をすくわれやすい。これで得するのは資本家や富裕層だけだろう。現行の年金システムは社会的公正をもたらさない。

 

・年金制度を守るために少子化対策をするのは間違っているという記事

 

nagne929.hatenablog.com

 

 

4.年金は差別的なシステムである

 

 会社員などに扶養されている配偶者は保険料0円でも年金を納めているとみなされる第3号被保険者制度も見直されるべきだ。第3号は、正規職の男性と、その男性に養われる専業主婦やパート主婦の組み合わせを標準家族として優遇している。婚姻家族を基準にした税制や年金制度は、日本型雇用(=正規職・年功制度・家族単位賃金)のもとで働き家長になる男性と、主婦化する女性というジェンダー規範を再生産している。家族単位のシステムは主婦を経済的に支えるように見せかけて、家父長制を存続させることが目指されている。今の国民年金はある程度余裕のある正規職とその配偶者(第3号)しか払うことが難しくなっている(あと、金持ちの経営者や資産家)。そして、日本で正規職に就けるのは《日本人、男性、シスヘテロ、モノアモリー、高学歴、中流、健常者》がメインとなる。年金はみんなに中立に見えるが、実際にその恩恵を受けられる層は限られているので差別的システムといえる。現行の年金制度ではマイノリティほど不利になる。だから、誰に対しても中立な無条件の生存保障が必要になる。

  

5.お金のない人は西成方式でいこう

 

 西成などで日雇い労働をして暮らしてる人は、収入がその日暮らしの水準であるため年金を払えない人や払ってない人が多い。貯金もできずに年齢を重ねる。高齢になったり病気になって働けなくなると生活保護を利用する人が多い。そもそも非正規や日雇いでは貯金もできず、年金も払えない構造となっている。今のように貧困層が貧困から抜け出せない社会では、できるところまでサバイブして、お金が尽きたら生活保護に移行する西成方式で生きるのが現実的となる。社会は将来不安をあおって人を働かせ、納税させ、年金や保険を収めさせ、貯金もさせる。将来不安をあおることで人々を資本のもとに‘包摂’する。しかし、低収入者が将来の安泰を求めてがむしゃらに頑張っても、手元にお金は残らずジリ貧でずっと生きざるを得ない構造となっている。だから、マジメに働いて将来に備えようという自己責任論の発想は問題の解決に結びつかず、きちんと生存権を求め続けることが重要になってくる。時代遅れで運用のやり方が怪しい年金制度を維持するのではなく、みんながちゃんと生存保障されるマジメな社会保障システムが作られるべきである。