普通の旅行ではつまらない人へ。
行った先で即席の話し相手を見つけて、地元の情報を聞いたり、居場所をつくってみる。お金があまりない人は、野宿できるなら宿代をカットして、ヒッチハイク、投げ銭など人の好意に甘えながら旅行をします。お金が無いならいろんな人から少しずつ助けてもらうしかないです。人の好意を受け取ると温かい思い出となる。さらに、好意を与えたり話相手となった人にもまた何かしら心に残るものがあるようだ。そこでは即席の物語が生まれているのだと思う。一時的な非日常経験にもなるなと思った。
2021年の9/29〜10/10まで九州をブラブラしていた。福岡の友人の家に数日泊めてもらい、それから佐賀、長崎、熊本(天草・水俣)、鹿児島、宮崎を回った。しかし、ブラブラしている間に交通費がどんどんかかり、投げ銭ではカバーできずパンクしてしまう。宮崎で神戸行きのフェリーで帰った(宮崎から大分までが遠く大変)。九州旅行は中途半端に終わったが、無理せず飽きたり疲れたりしたらすぐ帰るのがいい。旅は楽しむもので苦しくになりすぎてはいけない。
※ 博多の天神の路上で、知らない人に話しかけて誕生日祝いでお小遣いをもらった。
※ 天草の家の前にあったくまもんの飾り物。
1.モノや食べ物をもらう
人は知らない他人にでも(いや、知らない他人だからこそ?)気前よくモノをくれることがある。キッカケは何でもいいのかもしれない。突然話しかけたり目にとまってもそれは出会いとなる。出会って自分の好意を示すには贈与が手っ取り早い行為なのだと思う。おすそ分け程度に相手からの好意を受け取ると、お互いがいい気分になって生温かい思い出となる。贈与は心の温もりを生む。
◉ 早朝の公園で朝のコーヒーをもらう?
京都から高速バスに乗って、早朝の下関についた。歩いてると公園でのんびりしているおっちゃんと話になった。おっちゃんは自転車に乗ってブラブラしてると警察によく職質させて、それにいつも腹が立つので今度警察手帳をとりあげてやろうと、日頃のうっぷんをわたしに話した。おっちゃんが自販機で缶コーヒーを買ったら、わたしが「すいません。僕コーヒー好きなんでこれ頂けませんか?」とおっちゃんの手からコーヒーを取ってしまった。おっちゃん、びっくりして口が開いたままだったけど、「おお、ええよ〜。ははは」と快諾してくれた。「旅の記念にお願いします」と勝手に理由をつくって頂いてしまった。笑
◉ 高校生からみかんをもらう
佐賀県の駅でホームに部活帰りの高校生たちが電車を待っていた。わたしの大きなカバンを見て、「こんにちは」と挨拶されて、わたしも挨拶を返した。「今から鹿島方面に行くんやけど、鹿島って何があるの?」と聞いてみた。高校生たちもあまり答えにくいようだったが、わたしが「佐賀ってみかん美味しね。みかん好きやねん」と話しかけたら、高校生の一人が「ああ、みかん持ってますよ。いります?」と言われて、おすそわけでもらった。ありがたや。九州の福岡・佐賀・長崎は早生みかんの産地。スーパーでもすごく安く手に入ってみかんが手放せなかった。
◉ 長崎の路上で出会ったおっちゃん
長崎の商店街の入口で投げ銭ボックスを置いていたら、飲み屋から帰りのおっちゃんに話しかけられた。親に恵まれず、孤独な幼少期を送っていたという。自衛隊員として各地で働いていたそうだ。お金や住むところを失い路上で半年暮らしたこともあったそう(ゴミをあさって暮らしていた)。自分は貧しい人や社会の下にいる人の気持がわかるという。「あなたのように生きづらさを抱えた人が前に出てくるのはすばらしい」と言われて、お気持ちとしてコーヒーと投げ銭を頂いた。おっちゃんも関西にいる時は西成の飲み屋に通っていたそうだ。西成は孤独気味な人の居場所になってるんだなと思う。
◉ 通行人を感動させた
長崎の路上で通行人に「こにゃんちは〜」と挨拶して手を振ったら、引き返して声をかけてくれた。お金をねだっているが通行人に丁寧に挨拶をしていて誠実そうだと好感をもってくれたそうだ(笑)。「路上パフォーマンスは歌ったり音楽をならして騒がしくしたらすぐ通報されてしまうけど、あなたのように何もせずただ居るだけで投げ銭をもらうのは賢いやり方ではないか」と面白がられた。その方も居場所がないらしくて、わたしの路上の即席の居場所を面白がってくれた。「あなたは人情を売ってる」と言われて感動された。その方からは腹の足しにとパンを頂いた。
◉ 各所で食べ物などもらった
宮崎駅前の広場で、いろんな人からパンやお菓子、飲み物をもらった。ヒッチハイク旅行を経験した人と少し話してお菓子をもらった。また、「あまりお金なんだけどお気持ちくれない?」と通りがかった人に言ったらパンをもらった。「野宿してるの」と言ってたら、女学生から「えー、かわいそう」と言われてお菓子やお茶、お小遣いをもらったりした(笑)。宮崎の人にはいろいろお気持ちを頂きありがたかったです。
2.投げ銭(お気持ち)
お金があまりないから、路上で「お金を少し下さい」と通行人に話しかけてみる。いろいろ話をしてお金(お気持ち)を投げてくれる人もいるし、あまり話さなくてもポンと1000円札を渡されることもある。人は、ささいなキッカケがあれば贈与をする。そのスイッチが入るかどうかなんだろう。投げ銭をもらって旅行してるのを面白いなと思う人もいるし、路上で一人で何かしてる姿に勇気あるなと思う人もいる。また、何かしらいい事をしたいと思って投げ銭をする人もいる。投げ銭をする理由はさまざまだけど、投げ銭をしようと思うのは、自分が何かをあげることで自分なりの物語をつくれるからではないかな(ボードリヤールは現代人はモノの消費において、モノそのものよりもモノの意味を消費しているのだと言ったけど、投げ銭も何かしらの意味を自分で感じてお金を投げるのだと思う)。
◉ 元ヤクザのおっちゃんからシノギ(お気持ち)をもらう
福岡では自転車で通りがかったおっちゃんが立ち寄って話しかけてくれて、「引きこもりは人との交流がなくなるとしんどいなぁ」と理解を示してもらい、「ちょっと、これ受け取りや」と投げ銭を頂いた。そのおっちゃんは西成で住んでいて元ヤクザだったらしい。「この指を見てみいや」と欠けた小指を見せてもらった。元ヤクザのおっちゃんからシノギ(お小遣い)をもらうひょんな経験をした。
◉ 化粧品イラストを楽しんでもらった
下関をテーマにフグの絵を描いた。フグにゃんだ。これは、通りがかった女の人とかに「かわいい」と言われてウケた。「これ、使わない化粧品で描いてるねん。僕、天才でしょ?」と調子に乗ったことを言って投げ銭をもらったりした。すると、通りがかったおっちゃんが絵を額に飾りたいから売ってくれないかと言われた。おっちゃんも現場労働者であまりお金がないからお気持ち程度をいただいて絵を渡した。
◉ 居場所を欲している人
久留米で路上活動をしていると、学生から話しかけられた。話をすると、こじらせているわけではないが、何となく居場所を必要としていることを言ってくれた。学校やバイト先もあまり気が落ち着かないという。仕事はできればガツガツしたくないなと思ってるゆるめの人だった。バーやクラブなど派手目な場所もなかなか行きにくいなと。わたしは、路上で何かするのも思いがけない出会いがあって面白いし、生きづらさについて話し合える人とも出会える可能性もあるという話をした。やはり、自分が何かしら前に立つことも大切だなと話し合った。話ができてよかったと少しだけどお気持ちをいただいた。
※ 今回の旅での投げ銭の総額は20,030円だった。路上で頂いた方、PayPayで誕生日祝いでお気持ちをいただいた方、ありがとうございました。
【路上での投げ銭】
9/29 新門司駅 600円
9/29 博多天神(誕生日祝い) 1000円
10/1 久留米 1861円
10/2 佐賀駅 1542円
10/5 長崎 1647円
10/7 鹿児島中央 1565円
10/9 宮崎駅 938円
10/10 宮崎駅 1000円
【PayPay】複数名から誕生日祝いで1万円ほど頂いた。ありがとう。また、九州に行く前に旅費に使ってとお金を投げて頂いた方もいる。嬉しい。よし、また近々九州に行こう(笑)。
3.人に話しかけて、話し相手をみつけたり現地情報を得る
今回の旅は、地図だけ持っていってガイドブックなどは持っていかなかった。必要な情報や気になることは現地の人に聞くなどして情報を得たらいいと思う。地元の人がよく行くリーズナブルなお店などは地元の人がよく知っている。路上で人に話しかけていい情報が聞けたら即席のガイドブックである。むしろ、ガイドブックにも載らないご当地の情報を聞くことができる。
◉ おばちゃんに安いちゃんぽん屋を聞いた
長崎について路上のおばちゃんに「この辺で安い飯屋ないですか?」と話しかけた。おばちゃんは、「中華街のちゃんぽんとかは高いね。観光客目当てやから。よかったら、お店まで連れて行ってあげるよ」と言われた。10分ほどだがおばちゃんと話をしながらお店に案内してもらった。このように、路上で人に話しかけたら、即席で話し相手をつくれる。一人旅でも一人にならない。
◉ 公園のおっちゃんに話しかけた
長崎の街をぶらついて公園で鳩にエサをやってるおっちゃんに、「この辺で景色いいところないですかね?」と話しかけてみた。おっちゃんから稲佐山がいいんちゃうかと言われた。ロープウェイで行くと高いが、市バスで山の中腹まで行くと安くすむという話を聞いた。バス乗り場も教えてもらう。また、近くの安い飯屋の情報も教えてくれた。現地情報を聞いたら、よもやま話になった。むかし、食べ物がない時代にその辺の畑の芋を泥棒して山に持っていって焼いて食べた話など聞いた。長距離バスやトラックの運転手をして、いろんなところに住んだり滞在したそうだ。西成で飯場労働もしていたそうで、西成のおでん屋とか昔の500円ドヤの話も聞いた。2時間ぐらい話した。キラキラした観光地めぐりだけでなく、路上や公園で何気なく人と話して思いがけない出会いを楽しむのもいい。
※ 稲佐山から見た長崎。長崎は三菱の工場が多い。原爆投下も三菱の工場があるから標的にされたそうだ。
◉ 人と話して行き先をつくる
今回は、あらかじめ行き先を決めてなくて何となく進んでいた。しかし、路上で人と話して、「ここがいいよ」とか「こういうルートもあるよ」と言われて、じゃあそこに行ってみようとその場その場で行き先が出てくる。長崎市内では、雲仙は土砂崩れなので、代わりに高速船で長崎から天草の方に渡ってはどうかという提案を受けた。こんなふうに、その場で誰かに行き先を提示してもらい行き当たりばったりで進むのもいいと思った。
4.ヒッチハイク
今回は、一度だけ乗せてもらった。道端で看板を掲げて20分くらいでヒッチハイクできた。車の中では、走りながら目の前に現れる景色や建物について話を聞くなど、ガイドブックには載っていない地元情報を聞けて面白かった。このように、地元の人と直接話しができる場ができるのもヒッチハイクの面白い点だ。乗せてくれた人も、ヒッチハイクをする人ってどんな人だろうと興味があって乗せてくれる人がいる。また、ヒッチハイカーを車に乗せる経験をしたみたい人もいる。ヒッチハイカーは何かしら非日常をもたらす存在でもあるのだ。コロナが収まったらまたヒッチハイクで乗り継ぐ旅をしてみたい。
5.野宿
今回も4回ほど野宿して宿代を浮かした。野宿したのは無人駅、道の駅、海の横のベンチなど。無事に朝を迎えた。
6.景色など
◉ 門司港駅(福岡県)
◉武雄温泉(佐賀県)
◉ 佐賀県のおいしいもの(道の駅などで売ってる)
◉ ライトアップされた眼鏡橋(長崎)
◉ 肥薩おれんじ鉄道(熊本八代〜鹿児島川内を結ぶ第三セクター)
◉ 絵も描いた
◉ 指宿の砂ぶろ(障害者割引が適用可)
◉ 都農市(宮崎)のリニア実験線跡(今は太陽光発電として利用されている。近くの道の駅ではトマトなど地元のものが買える)