生活に必需なモノや便利なモノを、私たちはカネを出して手に入れている。商品を買うおカネを得るために私たちは仕事をして給料を稼いでいる。
仕事を得るために私たちは労働市場で労働力という商品とならなければいけない。労働をして給料をもらい税金を払うということはどういうことなのか?私は、イヴァン・イリイチの「シャドウ・ワーク」という概念を知って、その正体を知ることになる。
私たちは労働力という商品である。私が稼いだ給料は、私という商品の腐敗防止のための食料費・医療費、私という商品を包装する衣服費、私という商品を会社に運搬する自家用車などの維持コストとなる。
給料から取られた税金は、私という商品を職場まで運搬する道路や鉄道への設備投資に使われる。さらに、私が故障した(病気になった)際の修理費(医療費)というメンテナンスにも使われる。
貯金が残るって?いやいや、働くための学力・資格を得るために投資した金額のことを考えてみたかい?さらに、母さんや父さんがあなたという商品をつくるための食事・無償の教育(読み書き・勉強の手伝い)で費やした時間や金額を考えてごらんなさい。
私たちは労働力という商品であり、私たちが受け取る給料や、そこから引かれる税金は、労働力という商品を維持するためのものなのだ。
サラリーマン(賃金労働)というのは、働くために働くというマッチポンプをやっていることになる。
さらにマルクスは、労働者は、労働者が毎日の生活を維持していく水準以上の給料はもらえないと労働価値説において述べた。
イリイチやマルクスによると、市場経済において商品となった労働者は、働いても生活をギリギリ維持できる程度のカネしか受け取れないようになっているのである。
労働でカネを得てモノを買うという市場経済の中で生活をおくるならば、私たちは「働くために働く」という、一生歯車を回すハムスターとして生きなければいけない。
- 作者: I.イリイチ,Ivan Illich,玉野井芳郎,栗原彬
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