生きるための自由研究

脱・引きこもりできそうにない半引きこもりです。

お遍路の思い出(4)食料調達術

 ◎サバイバル術【食料調達】

 

野宿旅行では野生になっている食料も豊富に使います。今回は、徳島市内でラーメンを食べたのを除き、基本自炊で行きました。スーパーとかあれば安い食材を買って調理します。

 

野生の食べ物を見つけるとワクワクします。旅が楽しくなる。果物は一目でわかるけど、野草やキノコの知識があると食の幅が広がる。

 

 

 

 

①野草

 

今回の旅行ではサラダ類は一切買わず、道端の野草を食べてビタミン、ミネラルなどの栄養補給をおこなった。

 

野草については、以前ブログに書いた。食べれる野草を知っておき、野草に出会ったら採ってムシャムシャ食べます。栄養に留意したいため、野草見つけたらたくさん食べます。なお、湯でたら食べやすくなる。

 

【一例】道端でヒメジオンを採って茹でる

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/n/nagne929/20180324/20180324164309.jpg

 

f:id:nagne929:20180324164438j:plain

 

 

・ブログに野草のことを書いているので是非ご覧あれ。

 

nagne929.hatenablog.com

 

 

 

 

 

②拾った野菜で調理

また、やそ道端や空き地になっている所有者のわからない野菜たちです。畑の近くには野菜が転がっていることもあり、運良くゲットできたらそれを利用して料理をする。今回は空き地でゴーヤを見つけ、ナスや玉ねぎを拾いました。RPGゲームでアイテムを拾ったみたいで面白い。

 

・空き地で採ったゴーヤでチャンプルーを作る

f:id:nagne929:20180324153745j:plain

 

f:id:nagne929:20180324153634j:plain

 

 

 

・ナスを拾って麻婆茄子

f:id:nagne929:20180324154048j:plain

 

 

f:id:nagne929:20180324153954j:plain

 

 

・玉ねぎを拾う

 

f:id:nagne929:20180324154319j:plain

 

 

 

 

・野生のシソを採取して焼肉

 

 

f:id:nagne929:20180324154547j:plain

 

f:id:nagne929:20180324154620j:plain

 

 

 

 

 

③キノコ 

・山でイグチを採って野菜炒めに

 

f:id:nagne929:20180324155030j:plain

 

f:id:nagne929:20180324155355j:plain

 

 

 

 

 

④果物をとる

地方の道を歩いていると果実の木がそこら辺に生えている。秋になれば果物を頂きましょう。柿などは疲労回復によく一つ食べるだけでも空腹が満たされます。サバイバルには必要でしょう。

 

果物と野草だけでも一食やりすごせる。

f:id:nagne929:20180324164839j:plain

 

 

・柿

 

シブ柿でも、食べれないことはないです。腹が減ったら食べよう。ほんのり甘いです。

f:id:nagne929:20180324164931j:plain

 

 

 

 

 

 

・イチジク

 

f:id:nagne929:20180324165034j:plain

 

 

 

 

 

・梨

 

f:id:nagne929:20180324165153j:plain

 

 

 

 

・みかん

 

みかんは緑色でも食べれます。甘酸っぱくておいしいです。

f:id:nagne929:20180324165332j:plain

 

f:id:nagne929:20180324165628j:plain

 

 

 

 

 

・はっさく

 

f:id:nagne929:20180324165421j:plain

 

 

 

 

 

・ぶどう(畑の横に落ちてた)

 

f:id:nagne929:20180324165251j:plain

 

 

 

 

・クリ

 

f:id:nagne929:20180324165730j:plain

 

 

 

 

ざくろ

 

f:id:nagne929:20180324165508j:plain

お遍路の思い出(3)野宿編

お遍路記録3回目ですが、10月の半ばに再び徳島駅に発ち3回目のお遍路に挑戦しました。でもまあ、旅のスタイルは前回と変わりありません。

 

 

nagne929.hatenablog.com

 

 

3回目は徳島駅から南下して二箇所目の難所(遍路ころがし)を経て太平洋側に到達。しかし、途中で連日の雨という天気予報を見て、先に進む意欲を失いました。同じJRの駅で3泊ほどしました。その間は、温泉に行ったり、ウミガメ博物館に行ったりしました。徳島はすだちの産地で、すだちサイダーが美味しかったです。

 

さて、お遍路を断念したのは、駅で3泊もしてたら地域住民から心配され、警察に通報がなされたようで、警察が駅にやって来て職務質問を受けました。人生2回目の職務質問です。

 

「家出じゃないだろうな?」とか自分の身元について執拗に聞かれ、カバンの中身を取り出されて、ナイフを見つけると質問をされという、気持ち悪いことをされました。

 

あと、鉄道の駅で洗濯物を干してて、パンツも人が見えるところに堂々と干してました(笑)。警察から、「君、パンツとか人の見える所に置いたらあかんやろう」と。

 

鉄道駅でパンツ干すなんてありえないですよね(笑)。別に、見せたかったとかいう訳ではなく、人通りも少ないから洗濯物干してもいいや、という感じで干していました。

 

雨で立ち往生となり、警察にもウザい絡みをされたので野宿旅行の意欲を失っていました。

 

22番礼所の平等寺までクリアして、23番の薬王寺手前でやめました。23番の薬王寺を超えると次の礼所(高知県最御崎寺)まで70km以上あり、その行程は延々と太平洋の横の国道を歩いていくというもの。野宿場所や食料確保、そして長い海側の単調な景色を見て歩くことに嫌気が差しました。

 

次にお遍路に行くかどうかは分からないです。

 

 

◎サバイバル編【野宿】

今回の歩きお遍路の大部分は野宿でした。3週間の旅行で宿泊に要したのは遍路小屋での一泊の500円です。以下は、野宿の記録です。屋根のある所がいいです。屋根がないところだと雨が降った時に詰むので。

 

 

①鉄道駅

鉄道駅にはよく野宿しました。地方の駅だと人があまりいません。夜になると電車の到着時以外は人はいないですね。ベンチなどにマットを引いてシュラフで寝ましょう。2泊くらいまでならば通報されない?

 

 

・野宿の様子

 

f:id:nagne929:20180324160340j:plain

 

f:id:nagne929:20180324161349j:plain

 

 

・地方のJR駅の電車は本当に少ないので、落ち着いて休めます。

 

f:id:nagne929:20180324160053j:plain


 

 

 

②公園などの東屋

 

公園の東屋は屋根があるのでいいですね。でも、激しく雨が降ると横から雨に打たれます。その時は中央の地べたに避難しましょう。

 

f:id:nagne929:20180324160551j:plain

 

f:id:nagne929:20180324160821j:plain

 

f:id:nagne929:20180324160629j:plain

 

 

③道の駅

 

地方には道の駅や休憩所が多いですね。屋根がある可能性が高いです。夜の人気が居なくなた時に寝る準備をして朝早くに発ちましょう。ベンチとかがなければ、トイレの横など屋根がある所をみつけて地べたに寝よう。

 

f:id:nagne929:20180324160928j:plain

 

 

 

f:id:nagne929:20180324161127j:plain

 

 

④使われなくなった施設

 

地方には廃ガソリンスタンドや廃工場が多いです。屋根付きの場所をみつけたら雨はしのげます。

 

f:id:nagne929:20180324161545j:plain

 

f:id:nagne929:20180324161758j:plain

 

 

 

 

以上、野宿場所の記録です。

 

野宿は基本ストレスがたまります。まず布団ではないので固い地面からの緩衝がなく、体が痛みます。シュラフでも体のあちこちが痛くなります。

 

シュラフはいいものを買うべきです。安物のシュラフでは体への負担が大きいと思います。

 

野宿については、地方よりも都会の方が難易度高いです。

 

地方は人が少ないので、野宿していてもあまり人目が気にならない。それでも、JR駅などはたまに人が来ることが有り、神経が図太くないと気にしてしまう。

 

都会だと人の往来が激しいため、常に人目を気にしてしまう人にとってはかなりしんどいと思う。

 

だから、都会のホームレスで路上生活者は常にストレスでいっぱいだろうと、今回の野宿で学んだこと。

 

野宿は人への神経を使うし、体への負担も大きいので大変でした。

お遍路の思い出(2)旅の様子編

前回記事の続きです。前回は去年9月の4日間のアル中状態でのお遍路について書きました。

 

 

nagne929.hatenablog.com

 

 

9月のお遍路は酒浸り状態がひどくて、神戸にもどりアルコール病院に駆けつけ、それからリハビリ生活をおくりました。

 

そして、リハビリでジーとしていると、またお遍路に行きたくなったのです。3週間くらい休んだ後、病院には内緒でまたお遍路に旅立ちました。9月29日の私の誕生日に旅立ちました。

 

松尾芭蕉は人生は旅と言っている。「旅をしたいと思ったら、誘惑の神に取り憑かれたように、心を取り乱し、何も手につかなくなる」という。芭蕉病にかかりました。

 

 

f:id:nagne929:20180324121858j:plain

 

 

 

神戸の三宮から徳島駅まで高速バスで2時間。お遍路コースに戻るのではなく、寄り道として鉄道に乗り美馬市穴吹駅まで足を伸ばし、「うだつの町並み」を見ました。翌日は百名山の剣山に登りました。

 

f:id:nagne929:20180324114100p:plain

 

 

 

f:id:nagne929:20180324114143p:plain

 

 

 

◎うだつの町並み

f:id:nagne929:20180324114406p:plain

 

 

◎剣山

f:id:nagne929:20180324114509p:plain

 

 

 

最初の2日は、吉野川の河川敷にあった東屋で野宿しました。水道もベンチもあり料理も作りました。料理レポについては次回に。月が明るく綺麗でした。

 

f:id:nagne929:20180324114813p:plain

 

 

しかし、睡眠障害には困りました。毎日ヘトヘトに歩いても寝れません。夜中の3時頃まで寝れない。朝は6時くらいに起きて出発しなければいけません。睡眠時間は3時間くらいとなり歩いていると昼頃に体力の疲労がピークになります。目は朦朧としている。

 

 

f:id:nagne929:20180324115615p:plain

 

 

 

10月1日からお遍路コースに戻りました。のんびりと農道を歩きました。晴れて気持ちいい。

 

f:id:nagne929:20180324115840p:plain

 

 

夕方になり、どこに泊まろうかとねぐらを探しながら町中をウロウロしていたら、地元のおばちゃんに声をかけられました。遍路さんが無料で泊まれる場所があり、宿泊できるか確認してくれるとのこと。

 

f:id:nagne929:20180324115943p:plain

 

 

 

お遍路さんが無料か格安で泊まれる小部屋を「善根宿」という。9月のアル中お遍路の時も500円の部屋に泊まりました。今回は写真もアップします。宿泊の感謝の意を示すため御札をみんな貼っていきます。部屋の広さは6畳くらい。収容人数は6人とのことだけど、明らかに3人が限界だろう。

 

 

f:id:nagne929:20180324120350p:plain

 

 

f:id:nagne929:20180324120428j:plain

 

 

カナダ人のカップルが別の小部屋に泊まっていて少し話しました。カナダ人の男性はお遍路は2回目だということ。今回は恋人を連れての挑戦だということ。キャンプ道具をいれたカバンは大きく重そうでした。プロですね。

 

夜に寝たが、一緒に泊まってたおっさんのいびきがうるさくて外に出た。

 

 

翌日は雨で、お遍路の難所と言われる8時間位の登山が待っていました。11番礼所の藤井寺から12番の焼山寺までは山道です。

 

f:id:nagne929:20180324121347p:plain

 

 

 

 

山道は上り坂が多く、ゼエゼエ言いながら歩きました。なにせ15kgのカバンを背負いながら山登りは苦行です。自衛隊の訓練かよと。バテるので何度も立ち止まり、ゆで卵やピーナッツなど食べてエネルギーを補っていました。途中、集落の中を貫く道があったり、景色が開ける箇所があったりと楽しんで歩けました。

 

 

f:id:nagne929:20180324122007p:plain

 

f:id:nagne929:20180324122034p:plain

 

 

その日は、焼山寺への到着が16時半ごろ。そこから野宿スポットまで3時間かかりました。足の裏は砕けそうになるほど激痛でした。その日は道の駅のベンチで寝ました。 

 

10月3日は、また雨であり、足も痛いので移動せず地元をブラブラすることにしました。

 

寄ったのは、「雨乞いの滝」と「幸福神社」です。服をきたまま滝壺にダイブして川の水に浸かりました。天然風呂です。ものすごく気持ちよかった。

 

 

f:id:nagne929:20180324122938p:plain

 

 

f:id:nagne929:20180324123001p:plain

 

 

 

f:id:nagne929:20180324123019p:plain

 

 

この後、温泉施設の休憩施設で寝転んで新聞読んで一日が終わる。この日も道の駅で野宿でした。

 

10月4日は晴れなので先を進みました。徳島市の市街地に戻っていきます。以下のように進んでいきました。途中、別格2番の童学寺にも往復2時間かけて行きました。

 

この日もかなり歩きました。道路をずっと歩いて、アスファルトは足の裏へのダメージが大きいです。山道の土は足の裏に優しいのでまだマシですが。

 

この日は徳島市内のJRの駅に泊まりました。市街地なんだけど駅には人はあまりいないですね。夜になれば静かになります。

 

 

 f:id:nagne929:20180324123415p:plain

 

 

f:id:nagne929:20180324123441p:plain

 

 

 

駅の前には給水所があり、便利でした。水をストックしました。

 

f:id:nagne929:20180324124000p:plain

 

10月5日は、徳島駅まで歩いて移動した後、最初に行き逃した別格一番の大山寺に行こうと電車で向かいました。電車で板野駅に到着。駅にカバンを置いて荷物を軽くして別格1番に向いました。

 

f:id:nagne929:20180324124401p:plain

 

 

f:id:nagne929:20180324124418p:plain

 

 

この日もたくさん歩き疲れました。地元を歩いていたらたまたま大きな公園に東屋があったのでそこで一夜を明かしました。スーパーで食材買って自炊して食べました。

 

10月6日は神戸に戻りました。スマホのバッテリーが壊れて徳島駅でバッテリー交換しようとも最低一週間かかるということ。疲れたのと服が洗っても臭いので、臭いに耐えられなかったことなど色々理由が重なりました(服の臭いは、ちゃんと洗剤使って洗えばいいんだけどね。コンビニで小さい袋の洗剤が売っている)。

 

 

 

 

f:id:nagne929:20180324125145p:plain

 

 

f:id:nagne929:20180324125202p:plain

 

 

 

 

 

まあ、無理せずに、自分のやりたいペースで旅行は楽しんだらええと思います。

次回は野宿旅行のサバイバル術を話します。

 

 

nagne929.hatenablog.com

 

 

お遍路の思い出(1)アル中遍路編

去年の9月と10月のお遍路旅行について書いておこうと思った。

 

昨年のお遍路は、歩きと野宿です。

 

15~20kgのカバンを背負い20~30km歩いていました。

 

f:id:nagne929:20180323214923j:plain

 

f:id:nagne929:20180323214348j:plain

 

 

9月のお遍路は、アルコール依存症が再発して酒浸りの状態からスタートしました。一週間くらい焼酎を一日中食らっている酒浸り状態だったが、「お遍路に行って充実すれば酒は止まるはず」と思い出発しました。

 

とりあえず当時は無職で何もヤル気が起こらないので、何かパーッと楽しいことをしようと思いついてお遍路を始めただけなので、計画はほとんどゼロ。バスターミナルで降りて、いきなり目的地への移動の仕方がわからなかった。

 

当初は長期の放浪で行き当たりばったりでいいやと思っていたので。

 

f:id:nagne929:20180323220730j:plain

 

 

最初は鳴門市の高速バスターミナルで降りて、一番礼所の霊山寺まで12kmほど歩きましたバスを降りるやいなや近くのスーパーに寄って、カップ焼酎を3個買いぐい呑みしてからスタートしました。アル中全開です。

 

お遍路の礼所の行き方は丁寧に標識などで示されているので、略地図と標識に頼れば目的地にたどり着けます。ただ、手書きの道案内とかは見逃しやすいので注意が必要です。

 

f:id:nagne929:20180323215625j:plain

 

 

 

一番礼所の霊山寺で納経帳を買いました。納経帳は小型のもので2,000円弱しました。これに88ヶ所の礼所で、礼所巡りの証拠として墨書きしてもらいます(300円)。納経した時に納めるお札も買います。納経時間は7時から17時の間です。

 

お遍路は納経でおカネをじわじわ取られ、数珠やらも買わなきゃとか迫られるので、お遍路も完全にビジネスですね。巡礼も資本主義に取り憑かれてしまってます。

 

 

f:id:nagne929:20180323215903j:plainf:id:nagne929:20180323215928j:plain

 

 

さてお遍路ですが、1日目は大雨に見舞われていきなり全身ビショビショになりました。

 

霊山寺で雨が止むのを待って2番礼所の極楽寺に17時前に着いて納経して、その日は近くのJRの無人駅で野宿しました。

 

f:id:nagne929:20180323221124j:plain

 

電車の本数は一時間に2〜3本なのでほぼずっと一人です。人が通ろうとシュラフで寝ていました。

 

とりあえず、翌日は朝早くに目覚めて、起きると同時に焼酎をかっくらいました。2日目もアル中全開でスタートです。

 

お遍路の行程はほぼアスファルトの道です。国道と県道がメインで車も多い。重いカバンを背負っているので足は痛くなります。

 

でも、道を歩いていると周りは畑が多い。畑を見ていたら地域の特産品もわかってくる。鳴門市は鳴門金時などサツマイモが有名だが、レンコンや梨の畑も多くあり、これらの産地でもあるのだなと。歩いているだけで地域特産品がわかります。

 

・レンコン畑

f:id:nagne929:20180323221340j:plain

 

 

 

地方に行くと道路脇に無人の直売所があり、かなり安く野菜や果物を買える。何度か買いました。

 

f:id:nagne929:20180323221923j:plain

f:id:nagne929:20180323221844j:plain

 

 

さて、歩いているのは楽しかったのだが、コンビニで焼酎パックを買い、ちびちび飲みながら歩いていた。酔は回ってくる。

 

坂道で転んでヒザをものすごく擦りむいた。痛い。この時にカバンの横ポケットに入れていた大事な地図や雨具を落としてしまった。雨具はノースフェイスの3万円のやつだったので、後で落としたのに気づいてかなりへこんだ。

 

とうとうダウンして、道端の喫茶店の前でうなだれていると、近所のおじちゃんが心配そうに声をかけてくれた。そして、僕が動けない様子を見たのか、警察に連絡したようだ。パトカーが来て怖そうな警察官に囲まれた。

 

人生で初めて職務質問をされた。

 

免許証の提示を求められたり、出身地や職業聞かれたり。

 

私は「僕、アル中で酒飲みすぎて動けないんです」と情けなく言った。

 

もう泥酔していたんで記憶が定かではない。警察は僕をパトカーに乗せた。僕はパトカーの中で完全に意識を失った。

 

どこか小さい部屋に連れて行かれて、部屋に入ったとたんに寝転がった。しばらく酔いつぶれて寝込んで、目が覚めた。

 

「ここはどこ??」

 

6畳ぐらいのプレハブ小屋にいた。道路に面していた。その時僕は、「酒が飲みたい」と衝動に駆られた。自分の状況よりも酒を買いに行くことしか頭になかった。

 

アイフォンで徳島県警に連絡して、「僕はどうなったんですか?」「近くにコンビニはありますか?」といきなり聞いた。

 

何を話したかはあまり記憶にない。ただ、電話でコンビニの場所を聞き、すぐさま酒を買いに行った。完全にアル中脳だ。

 

酔いつぶれてまた寝た。

 

朝になって誰か入ってきた。

 

どうやら、この部屋はお遍路さんが泊まるための部屋で一泊500円。管理人が僕のヒザの出血を見て包帯やらで処置をしてくれた。優しい方だ。

 

僕は二日酔いがひどく昼過ぎまでその部屋にいた。

 

13時頃になって、さすがに出発しようと思い、カバンをもって部屋を出た。

 

しかし、また酒を飲み始めた。

 

歩くのが面倒くさくなって、通りがかりの公園の影で寝転んだり、道路の横の影の部分で酔いつぶれて寝てたりした。この日歩いたのは5kmだけだった。何をしに四国に来たんだ??

 

さて、その日はお寺の駐車場の東屋の中で寝た。

 

ここは、野宿禁止らしい。後から知った。

 

寺の売店の人からコンビニの場所を聞いており、酒は飲まないでおこうと思ったが、やはり買いに行ってしまった。往復40分くらいかかるのに、焼酎のためならどんな手間でも掛けられるアル中そのものだった。

 

翌日、目覚めたがものすごく体調が悪い。

 

先に進むのも不安感しか無かった。このままでは絶対にアル中でぶっ倒れるなと感じた。

 

助けを求めたくて、寺の宿の人に「救急車呼んでくれませんか」と懇願した。しかし、宿の人たちは奥で話し合っていたようで「遍路は自己責任。下手に遍路さんを助けたら後で面倒なことになる」という旨のことが聞こえた。悲しかった。助けてくれてもいいのに。

 

「救急車は自分で呼んで下さい」と言われ、またしばらく休憩所で休んでいた。

 

救急車を呼んだ経験がない。病院に電話をかけようかかけまいか悩んだ。悩んだ末、今回は遍路をあきらめて神戸に引き返そうと考えた。これは、後から思い出して賢明な判断であった。

 

最寄りのJR駅までかなり遠い。とにかく歩いた。1時間くらい歩いて、スーパーを見つけた。情けないことにまたカップ焼酎を買った。もう飲まないでおこうと思ったのに。スーパーでタクシーの連絡先を聞き。タクシーに乗って最寄り駅へ。鴨島駅という。電車に乗って徳島駅に着いて、そこから高速バスで神戸に帰った。

 

同居人は優しく迎えてくれた。

 

一人では酒を止めることは無理と判断して、かかりつけのアルコール病院に向かった。二日酔いで酒浸りのまま病院に行って、ケースワーカーにスリップ(再飲酒)しましたと言うと、優しく対応してくれた。

 

酒が止まらなかったのは離脱症状のせいだった。アルコールが切れると酒が欲しくなって衝動が抑えられない。離脱症状を抑える薬(ジアゼパム)を病院で緊急処置しえもらい、離脱症状は和らいだ。

 

血液検査をしたところ、GOT1,954など、とんでもない数値を叩き出した。肝臓はボロボロだ。急性肝炎である。後から医者が言ったのだが、完全に入院が必要なレベルだったらしい。

 

 

 

f:id:nagne929:20180323222106j:plain

 

 

 

離脱症状や飲酒欲求には数日悩まされたが、なんとか酒は止まった。

 

9月11日に断酒開始でまだ続いている。

 

断酒が軌道に乗ったから、10月にまた遍路に行けた。

 

次に続く

 

 

nagne929.hatenablog.com

 

野草を食べよう

春になると野山に野草が芽吹きます。

 

みんな雑草と言って目も向けないけど、農薬も何もつかっていなくて健康によい植物です。

 

大原扁理さんも野草をとって食べてますよね。

 

野草を上手くゲットできれば、生存能力が上がると思います。

 

以前、野草のプロのおばちゃんにレクチャー受けて、京都の加茂川で野草を摘んで食べました。その時の写真が以下です。野草で豪華な料理が出来上がります。

 

f:id:nagne929:20180322201203j:plain

 

 

そんなに詳しくならなくても身近に野草はたくさん生えています。例えば、そのまま食べるのが美味しいスイバ、おひたしや白あえにできるヨメナとか、硬くて苦いものは天ぷらに!!

 

2017年9月〜10月のお遍路の野宿旅行の時には、サラダを買わず、ミネラルとビタミンは全て野草でまかなっていました。

 

道を歩いていて、野草を見つけたら、摘み取ってムシャムシャ食べます。

  

さて、以下はこれまで食べてきた野草を紹介します。

 

 

 

◎(左)人参葉、(右)カラスのエンドウ

f:id:nagne929:20180322195127j:plain

 

人参葉もカラスのエンドウも茎が硬く苦いので天ぷらにします。美味しいですよ!!

カラスのエンドウは沸かしたお湯に入れるとお茶になります。美味しいです。

・人参葉の天ぷら

f:id:nagne929:20180322200245j:plain

 

・カラスのエンドウの天ぷら

f:id:nagne929:20180322195841j:plain

 

かき揚げにしてもGOODですよ!!

 

f:id:nagne929:20180322200518j:plain

 

 

 

 ◎ヨメナ

f:id:nagne929:20180322203146j:plain

 

春になったら芽吹き始めます。春菊の仲間でほろ苦いです。私はおひたしや白あえで食べます。

 

ヨメナのおひたし

 

f:id:nagne929:20180322203349j:plain

 

ヨメナの白あえ

f:id:nagne929:20180322203306j:plain

 

 

 

◎ハルジオン/ヒメジオン

f:id:nagne929:20180322203520j:plain

 

 ヨメナに似ています。葉っぱは苦いですが湯がけば大丈夫です。僕はお遍路中に道草でとって食べていました。

 

 

タンポポ

 

f:id:nagne929:20180322203656j:plain

 

タンポポのおひたし

f:id:nagne929:20180322203719j:plain

 

どこにでもある可愛いタンポポも食べれます。

 

 

 

◎スイバ

f:id:nagne929:20180322201403j:plain

 

スイバも道路脇とか、空き地にたくさん生えています。冬以外は青々しています。これは摘んで生で食べるのがいいです。茹でたりすると酸味が変な具合になって、吐くほどまずかったです(というか吐いた)。ミネラル豊富です。

 

 

 

◎クズの葉

f:id:nagne929:20180322201649j:plain



葛の葉はそのまま食べましたがマズイです。芽を天ぷらにしましょう。

 

 

 

ツユクサ

 

f:id:nagne929:20180322202030j:plain

 

ツユクサもどこにでも生えてますね。6~9月くらいに花は咲きます。花の部分を取って葉を食べます。僕はお遍路中に生でムシャムシャ食べてました。おひたしもいいかもしれない。炭水化物の吸収を抑える効能があり、ダイエットや糖尿病にいいですね。

 

 

◎オオバコ

 

公園とかによく生えてます。おひたしや天ぷらにしたら美味しいらしい。

f:id:nagne929:20180708145607j:plain

 

 

 

★★ラーメンとかに入れるとおいしい★★

 

キャンプとか野宿とかで調理が面倒くさい時に、カップラーメンとかに野草を入れるだけでお手軽に栄養がとれる。

 

タンポポツユクサ、山菜を入れたカップ

f:id:nagne929:20180708145530j:plain

 

◯即席ラーメンにタンポポとオオバコとヨメナを入れる

f:id:nagne929:20180708145934j:plain

 

 

 

◎笹の葉茶

 

f:id:nagne929:20180322203852j:plain

 

ヤブに生えている笹の葉をお湯で沸かすとおいしいお茶になります。笹は一年中いけますね。

 

 

 

では、みなさんも野草に興味があればいろいろ摘んで図鑑で調べて食べて下さい。

 

性欲は飼い馴らせるか?

1.発情するのは本能か?

 

「発情のしくみは生理的なもの以上に文化的・社会的なもの」

 

上野千鶴子(1998)『発情装置』筑摩書房、p.13)

 

ミニスカに興奮する者は、ミニスカを履いてるのが女性であっても男性であっても(それを男性だと知りながら)反応するのだと言われている(森岡正博(2005)『感じない男』筑摩書房)。つまり、ミニスカという「女性性の記号」に欲情して反応しているのだ。

 

これは、性欲が本能ではなく、文化的につくられるということがよく分かる事例である。

 

「性豪」と呼ばれる男性を思い起こせばよい。かれらは「モノにした」女の数を誇るが、逆に言えば女と言えばだれにでも発情するほど、あるいは女体や女性器に、あるいは女性性の記号やパーツに自動反応するほど、条件づけされた「パブロフの犬」であることを告白しているのも同然だろう。かれらが反応しているのは、女ではなく、実のところ、女性性の記号なのだ。でなければどんな女でも「女というカテゴリー」のなかに溶かしこんでしまえるわけがない。

 

上野千鶴子(2010)『ニッポンのミソジニー紀伊国屋書店、p.8)

 

私たち男は、発情装置の溢れるこの社会に生きる中で「女性性の記号」に脊髄反射的に反応してしまうよう仕向けられてきたのではないか?

 

「男ならオンナに欲情するものだ」という文化的な圧力に不断にさらされ、それを本能だと勘違いしているのかもしれない(男なら子どもの時から、エロに関心をもつことが男らしいと、仲間から刷り込まれてきた)。

 

2.性犯罪は性欲が原因ではない

 

性欲があるから性交するわけでない。

 

人は、さまざまな理由から性交する。他人を支配したり、陵辱したり、愛撫したり、所有したり…‥するために性交する。強姦者が性欲から強姦するわけでないことは、よく知られている。

 

上野千鶴子『発情装置』、p.115-116)

 

以下の記事の中で、男性学研究者の伊藤公雄は、「性暴力の背景にあるのは性欲ではなく支配欲である」と言う。斉藤章佳氏の『男が痴漢になる理由』では、「痴漢の半数が勃起していない」という調査結果を踏まえ、「性犯罪の動機を性欲だと決めつけることは、暴力の本質を見誤る」と指摘されているという。

 

www.buzzfeed.com

 

 

近年の研究では、レイプとは社会的弱者の立場にある男性が、自分の攻撃性をさらに弱い相手に向けて発動する行為だということがわかっている

上野千鶴子『発情装置』、p.71)

 

 なお、強者男性の強姦は「犯罪化」されにくい。

 

はあちゅう事件であったように、性暴力をおこなう者は職務上の優位な力関係を利用して女性へ性行為を強要する(地位利用型の性暴力)。

 

女性は上司などの男性からの性的誘いを断れば、その上司との関係が悪くなり、自分のキャリアへの支障が出る、あるいは職場に居づらくなると考えてしまい「ノー」と言えない状況に追い込まれる。労働権を人質にとられていると言ってよい。また、性交後も女性は自身が被る不利益を考え、誰にも打ち明けられずに黙ってやりすごしてしまう。何もなかったこととして「犯罪化」されない。

 

集団強姦はどうか?2003年の早大スーフリ事件を受けて、当時自民党太田誠一議員は「集団レイプする人は、まだ元気があるからいい。正常に近いんじゃないか」と述べて強い非難をあびた。

 

スーフリ事件の集団強姦には、早稲田大学の学生はじめ、東京大学、慶応大学などエリート学生がケダモノ君になった。2005年には京大アメフト部の部員が女性を酒に酔わせ集団強姦した事件もあった。

 

エリート君でもケダモノになる性欲とは本能であろうか?

 

彦坂諦は『男性神話』(1991)のなかで、戦時強姦の目的は男同士の連帯を深めるため、と答えている。こんな状況でも男は勃起できるものだろうか、と素朴な問いを立てる必要はない。こういう状況で勃起できることが、「よぉーし、おまえを男と認めてやる」ことの条件なのだ。こうして女を共通の犠牲者とすることが、男同士の連帯のための儀式となる。

 

上野千鶴子『ニッポンのミソジニー』p.30-31)

 

 

集団強姦は、「女をモノにする」ことで得られる男同士の性的主体(と認めあった)としての連帯感を生み出すためになされる。自分も強姦に加担することで、男同士から「度胸がある」と〈男らしさ〉が認められ連帯感を得る。

 

男同士の下ネタ(猥談)も男同士の連帯感を深めるためで、下ネタを話せない男は「ウブ」「女女っちい」など言われ男集団の中で劣位におかれる。男が男に対して「オンナ」、「ホモ」と言うことがいかに侮蔑的意味をもつか私たちは経験している。

 

男という性的主体への同一化は女を性的客体とすることで成り立ち(上野、2010、p.30)、男性がもっとも怖れたことは、「女性化されること」、つまり性的主体の位置から転落することであった(上野、2010、p.28)。

 

男と認めあった者たちの連帯は、男になりそこねた者と女とを排除し、差別することで成り立っている。

 

上野千鶴子『ニッポンのミソジニー』、p.29)

 

3.性欲によって肯定される売買春

 

「男の性欲は女よりも強いから売買春は必要悪だ。売買春を無くしたら、性欲をもてあました男がどんな不届きな行為に及ぶかもしれない。強姦などの性犯罪が増える」などと言われる。

 

「射精は男にとっての生理」だの「性欲は本能だから仕方ない」だのの理由で売買春が肯定されるが、そんなものは小倉千加子が『セックス神話解体新書』(1988)で論破しているとのこと。

 

『解体新書』を説明した牟田和恵(2001)によると、

 

人は本能によってセックスするのではないし、いわんや性欲が満たされないからといって、強姦に走るわけでもない。排出されなかった精子は体内に吸収され、「溜まった」のに発散できないからといって爆発したりはしない。そこで「暴発」的な行為に走るとすれば、それはその行動のレパートリーをしっかりと学習した結果に他ならない。

 

だいたい、売買春の実態を見れば、既婚者が大半で(既婚者しか買わないとすれば売買春はじめセックス産業はなりたたないだろう)、セックスパートナーがないから買春するわけではない。売買春は、交接しそのことによって生理的欲求を満たすためだけに買春するのではなく、売春女性とのセックスに付随するイメージを買うのだ。現実に取り引きされるのは性サービスであるかもしれないが、観念の上では、買春とは「セックスを買う」のではなく、品のよろしくない表現でいうように、まさに「女を買う」行為なのだ。

 

(牟田和恵(2001)『実践するフェミニズム岩波書店、p.177)

  

金は権力であり支配の手段である。「女を買う」とは「女を支配する」ということである。男は、性欲という名のもとに女を支配しようとしているに過ぎないのだ。

 

男が「女を買う」のは、経済的取引であるだけではなく、力関係を象徴する。手に入れることの難しいはずの、禁止されているはずのものを金銭という権力を介して入手し相手の性を支配する―その充足、達成の快楽が性の欲望を形作っている。

 

(牟田和恵『実践するフェミニズム』、p.188)

 

 4.性欲はコントロール可能か?

 

食欲と違って性欲は、満たされなかったとしても死ぬわけではない。男はたまったら出すというが、なにも女性器に出す必要はない。使わなければポテンツが低下する「非作業性萎縮」もある。

  

一ヶ月はおろか一年以上、さらに数十年にわたって「セックスがない」人々が、十分に健康であるばかりか精神的にも充実した生活をおくっている調査もあるという(マイケル、ガニオンなど(1994=1996)『セックス・イン・アメリカ日本放送出版協会)。

 

性欲とは男の場合、生理的欲求ではなく、「女性性という記号」に反応するもので、その記号は文化的・社会的につくられたものだ。むらむらするのは大脳であって、性器ではない。

 

フーコーによれば、性は「自然」に属する本能的なものではなく、性は社会や文化の影響を受けて変化し、わたしたちが思っている以上にその変化のスピードが速いという(上野千鶴子(2016)『<おんな>の思想』集英社文庫)。

 

例えば、テレビでも見たことがある光景だが、社会によっては、服を着ない所もあり、そういう所では女性は裸で乳房を出して外を出歩いている。それが当たり前の光景なら男はいちいち乳房を見て欲情しない。江戸時代には人前で授乳したり混浴なども一般的で、乳房に対する関心は低いものであったという。胸を隠すという習俗は日本では比較的新しいものだという(ブラジャーの普及が乳房の性的価値を高めたとも)。

 

何がエロいのかは歴史的に変わり、発情の対象である記号は文化的につくられるものだ。性欲は文化的につくられ学習されて身についたものであるから、性欲は学習によって飼いならすことが可能ということになる。

 

自分が何に欲情するのか、それはどのような文化から学習されたのか、つまり、発情の機序を暴くことができれば、エロいとされることに欲情しなくなるのだろうか。

 

 

【文献】

 

 

発情装置―エロスのシナリオ

発情装置―エロスのシナリオ

 

 

 

女ぎらい――ニッポンのミソジニー

女ぎらい――ニッポンのミソジニー

 

 

 

実践するフェミニズム

実践するフェミニズム

 

 

 

 

結婚制度を問う

 

1.結婚制度は差別を生み出す

 

結婚制度の問題を述べる。

結婚こそ既婚者と非婚者の間に差別を生み出している。

人間関係にはいろいろあるが、性愛で繋がる関係やそこから生まれる親子の関係こそが最も深い人間関係であるという考えが支配するのはなぜなのか。

 

そもそも、人類は子孫を残し存続すべきだという論拠もわからない。地球に大きな環境的負荷をかける人類が滅ぶことは、他の生物にとって願ったり叶ったりのことであるかもしれない。


さらに、「性愛で繋がる二者とその子ども」だけを家族の単位として、制度的な優遇が与えられている。

 

結婚しているというだけで、税金の控除を受けたり、国民年金第三号被保険者として年金保険料が無料になったりする。

 

いかに仲の良い同性の人間関係であっても、扶養されていることで国民年金が無料になることはない。

 

その他にも結婚による利点とされるものは、シングル単位社会を提唱するの伊田広行によると、

 

「死んだ人の遺産を相続する権利を獲得できます。相続税贈与税上の優遇もありますし、子どもを嫡出にできる、性行為をすることが社会的に承認される、重婚・姦通・不倫を排除(批判)できる、離婚妻・寡婦に保護がある、住宅獲得の際に有利になる、慶弔金(休暇)、結婚手当(休暇)、銀婚式賞与、子どもへの入学・進学手当、出産手当、家族入院手当などを得られる、介護や病院つき添いの権利(休暇、休業手当金)があるなどのさまざまな利点があります」

 

伊田広行、2008、『「まだ結婚しないの?」に答える理論武装』、光文社新書、p.146)

 

 

「まだ結婚しないの?」に答える理論武装 (光文社新書)
 

 

「これらは裏を返せば、結婚制度に入っていない者への不利益(差別)とつながっている」(ibid、p.146)のである。

 

「結婚して有利になるということが、同時に結婚しない人を不利にしているということ」(ibid、p.145)を意識しておかなければならない。

 

また、結婚によって理由のない社会的信用も生まれる。結婚は人格と結びついているとされる。結婚して家庭をもつ者が一人前として社会的に高く評価され、結婚していない人が半人前と言われたり差別されるのである。

 

結婚していても、人間的絆が切れて破綻した二者関係もたくさんある。結婚した者が人格的に優れているなんて保証はない。

 

 

2.経済と権力により強制される異性愛主義

 

M.ファインマンの言うとおり、私は夫婦や男女カップルを否定しているわけではない。それが、制度的に保護され正統とされる特権的なかたちであることを問題としている。

 

同性愛者どうしには一部を除き結婚は認められていない。結婚には愛だけではなく、生殖が発生しないといけない。つまり、子どもという将来の労働力を生み出すから制度的に優遇するということである。このことから、結婚制度が資本制を支えてきたシステムだということがわかるはずだ。

 

そういったエコノミクスと人口増大の観点をベースに、男女の生殖をともなう二者関係を近代社会は人間関係における最上位の関係として位置づけてきた。これは、男女はつがいにならなければいけないという対幻想を生み、「強制異性愛主義」を導く。近代社会が強調した異性愛主義によって、生殖をともなわない同性愛が「異常」とされてしまうのである。異性愛主義は差別をも生み出しているのである。人間関係において優劣をつけるシステムであると言っていい。

 

 

3.結婚制度がなくなれば暴力を容易に裁ける

 

フェミニストは100年以上前から結婚制度が虐待と暴力の温床であると言い続けてきた。男性を妻子の上に君臨する一家の頭とみなす、不平等で権力支配構造を持つ制度がそうなるのに何の不思議もない。制度的遮蔽が取り除かれるなら、社会のあらゆる成員の相互関係を規制する同じ基準で、あらゆる行為を裁けるようになるだろう。

 

(M.ファインマン『ケアの絆』p.127)

 

 

例えば、夫婦間の暴力(物理的でなくても)や、一方的なセックスは、「夫婦だから多少は我慢すべきだ」と多くの女性が忍従を強いられることも多い。家族という「私領域」には外部の者が立ち入ることも難しかった。結婚制度がなくなれば、こうした行為を容易に告発し犯罪化して法で裁くことができる。

 

 

この見方による結婚制度廃止の実際上の意味とは何だろうか。結婚が法的地位を失うために夫婦間のセックスには強姦が成り立たないという抗弁が使えなくなる。さらに、一部の暴力行為を、“家庭内”暴力と表現し、家庭外の暴力に比べれば深刻ではないかのような言い逃れもできなくなる。あるいは、他人どうしなら許されないのに、家族だからと野放しになっていた行為について、性的関係にある一方から他方に損害賠償請求ができる法理すらつくられるかもしれない。相手を情緒的・心理的に傷つけることが、故意による不法行為とされ、(ストーカー行為などの)ハラスメント、言葉による暴力、心理的虐待を禁じる基準を、他人だけでなく性的親密関係者にも適用できることになるだろう。

 

(M.ファインマン『ケアの絆』p.128)

 

 

 

 

ケアの絆―自律神話を超えて

ケアの絆―自律神話を超えて

 

 

 

 

 

結婚制度により、結婚しない者が不利になるのなら、そのような現行の結婚制度は民主的ではない。暴力も「結婚」の名のもとに沈黙を強いられることもある。差別意識をまず無くすためにも、私たちの結婚に対する特権的意識が変革を迫られなければいけない。

 

次回は家族について話そう。